この文章は少人数での情報共有を企図して作成されています.SNS などへのリンクの掲出など,不特定多数にこの文書の存在を周知する結果につながるアクションはご遠慮ください.

1. この用語集について

テーマを定め特定の大学について事例研究を行う場合,インタビューによって直接の接触を行う前段で我々が手にできる情報は,第三者機関等がまとめたデータ,メディアによる報道,対象となる事業体が自ら制作した広報物・広告物である.第三者機関等やメディアから得られるデータ以外の,大学自身が広報を目的として制作したマテリアル,たとえばウェブサイトや冊子には,その制作によって達成したい目的が設定されている.目的があるなら,達成の計画もある.容易ではないが,マテリアルから目的や計画といった意図の一端をうかがい知ることができれば,情報の背景の理解に資するかもしれない.我々はこのような考え方に基づき,広報の制作に関連する知識(用語)の共有をはかった.

事業体が事業の継続のために行う情報発信には,広告活動(advertisement)に属するものと広報活動(public relations の形成)に属するところの2つに大別できる.2つは事業体組織の中の異なる部署に委ねられる場合と一体で扱われる場合とがあるが,この用語集では広報と広告のどちらを行う場合にも採用されるだろう共通の手順等に注目し,それらの区分には踏み込まない.

2. 用語の整理の方針

広告に顕著だが,広報も人の選択に操作の意図をもって働きかける場合がある.しばしば耳にする「ブランディング」という言葉は,会社なり製品なりが広く好感を持って知られている状態を作り上げて維持することを指している.ただ好感を積み上げて終わりではなく,何かしら <人の選択に操作の意図をもって働きかけ> ようとするときに,元手となるのが「ブランド」であるからという意識に基づく準備でもある.ウェブサイトや冊子などの作成が無目的に行われることはなく(ないはずで),手持ちのブランドを元手に何か実現したいことが存在しているし,ブランドの認知がまだ足りていないという認識に基づいて,情報伝達とブランド構築と目的達成とが同時進行で行われる場合もある.また,発信する事業情報そのものがブランドを高める場合もある.

以上より,ここでは「ブランディング」など人の選択を左右する要素として考えられている事柄と,そこにどう働きかけるかの計画立案に関する用語を中心に取り上げる.

3. 用語集


ブランドとブランディング

名前とシンボルに呼応するひとかたまりの記憶をブランドという.ターゲット(要件定義の項を参照)のブランド受容を,事業体が望む状態に変容させるための取り組みがブランディングである.(確立されたブランドにおいては,それを保つことがブランディングになる場合もある.ルイヴィトンなど.)

"1930年代に設立された世界最大のマーケティング組織、AMA:AmericanMarketingAssociation(アメリカマーケティング協会)によると、ブランドとは「名前、用語、図柄、シンボルほか、ある売り手の商品を他のそれと区別する特徴」とされている。ドコモ、ホンダ、パナソニックなどの単語を見ただけで、私たちの脳裏にはトレードマークなど様々な知識が思い浮かぶ。ブランドとは、名前とシンボルに呼応するひとかたまりの記憶を指している。好感を持つブランドには目が向き、関心のないブランドの情報は、心に入ってこない。ブランドの状態を良く保てば、結果として商品が良く売れる。だからブランドは企業活動にとっての資産だと考えられる。広告業はおおむねこのような考え方で、資産であるブランドを管理しようと試みてきた。(岩崎 2014)"

資産としての管理を含む操作の対象としての取り扱いを見据え,知能やモチベーションの研究において採用される抽象概念である hypothetical construct(仮説構造体)の考え方によるモデル化が行われた例があるので,6. 参考文献・報告書 に紹介する.


マーケティング

顧客にとっての価値を創造し、その価値を顧客に伝達し、説得することにより、社会をより豊かなものにする一連の取り組み。実務界では、マーケティングを市場調査や販売促進などのように、極めて限定的に解釈する人もいるようであるが、正しくはもっと広いビジネス領域に結びついている。そのため「売れる仕組み作り」のように、抽象的なとらえ方をすることもできる。経営学者として有名なピーター・ドラッカー(Peter Drucker)は、マーケティングをイノベーション(innovation)とともに企業における二つの基本的機能として位置づけている。またマーケティング学者であるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)は、作ったものを巧妙にさばく方法を見出すための技法ではなく、真の顧客価値を創造するための技法であり、顧客のよりよい生活に貢献するための技法であると述べている。今日では、企業だけではなく、協会や病院などの非営利組織、政治家や芸能人などの個人も、マーケティングの主体となっている。(2013.03, 恩蔵直人, イミダス2016, 集英社)

http://japanknowledge.com/lib/display/?lid=50010A-125-0084

上記のようにマーケティングは,経営そのものにかかわる広い概念をあらわす言葉としても使えるが,現実の操作ないしは検討の対象としては,次の要素に注目する.

マーケティングの 4P

  • 製品(Product)
  • 価格(Price)
  • 流通(Place)
  • 販促(Promotion)

マーケティングの 4C

  • 顧客価値(Customer value)
  • コスト(Cost)
  • 利便性(Convenience)
  • コミュニケーション(Communication)

(補足)AIDMA と AISAS

後送 / 古いか


トリプルメディア戦略

インターネット時代の企業広告の戦略の一つである。トリプルメディアとは、自社メディア(オウンドメディア)、ソーシャルメディア、広告メディア(ペイドメディア)の3種類のメディアを指す。これまで企業の宣伝広告は媒体の広告枠を購入する活動がメインであった。しかし、自分のウェブサイトを作成し、ソーシャルメディアを活用することで、より効果的なマーケティングが可能となっている。とくに、知名度のあるブランド企業は、メディアに広告出稿せずに、検索によってユーザーを直接自社ウェブサイトに誘導できる。また、ソーシャルメディアを利用すれば、無料でより多数のユーザーに対して広告宣伝活動が可能となる。検索やソーシャルメディアから自社のウェブサイトへの誘導が、トリプルメディア戦略では重要な活動であるとともに、自社のウェブサイトを充実した内容にすることが、今まで以上に需要な戦略となる。(引用元)

http://japanknowledge.com/lib/display/?lid=50010A-124-0395


ステークホルダー

自身の事業を中心に据えた場合,その周囲にあってなんらかの利害関係によって結ばれて人々,組織などを指す.狭いターゲットだけに意識を向けて制作を進めると,<他のステークホルダーにとってはどのように受け止められる情報か> という観点が抜け落ちることがある.これがトータルでは自己のブランド毀損につながる場合もある.この言葉の背景には,自身の発信情報がどのような波及効果をもたらすかを俯瞰するため,関係者を常にもれなく捉えておこうとする意識がある場合もある.


プレスリリース

本文


EurekAlert!などのニュース配信サービス

本文


要件定義

ウェブサイトの新規設置などに先立って,設置の目的や条件,ゴールなどをあらかじめ検討・定義すること.以下のような項目が検討される.完成したウェブサイトや冊子などの制作物からさかのぼって具体の検討過程を正確に導くことはできないが,何を優先したか,何を切り捨てているかなどは読み取れる場合がある.

  1. 運用期間
    継続的か期間限定か
  2. 使用(利用)目的
    企業広報,IR,CSR,キャンペーン,採用
  3. 期待する効果
    ブランド認知,問合せ件数向上
  4. ターゲット
    既存顧客,見込み客,ステークホルダー※
  5. 再生端末
    パソコン,スマートフォン,タブレット
  6. 開発規模
    ページ数,月間アクセス数,データベースなど実装するシステム
  7. インフラ
    サーバ,回線(帯域)
  8. 目標とすべきゴール
    定量的な目標,定性的な目標
  9. 予算
    初期コスト,ランニングコスト
  10. スケジュール
    公開期日,開発工程,運用スケジュール
  11. リソース
    スタッフ数,専従,兼務,外注

    (2005, Web ディレクション標準ガイド,株式会社ワークスコーポレーション)


広告プランニングとクリエイティブブリーフ

広報・広告に関する企画を含む計画の全体(プランニング)は,上記の要件定義項目を含み,制作物の完成形がおよそ想像できるような詳しいものを指すが,エッセンスを簡潔にまとめ骨組みを示すことも(ほぼ)必ず行われる.簡潔に表現しておかないとゴールに到達したかどうかを確かめられない,制作工程の途中で立ち返る基準として機能しないといった面もある.これを,クリエイティブブリーフと呼び,プラニング(詳細版)とは分けて扱う場合がある.クリエイティブブリーフについては,個々の広告代理店のカラーや商品・サービスのカテゴリーによる異同はあるが,以下の 8 要素が基本となる.

  1. 広報・広告の目的
    「競合との比較で○○の点で優れていると認識させる」など、達成することを言葉で明確にする.
  2. ターゲット
    向き合い話しかける状況を想像しながら,ターゲット個人を明確に描写すること.属性,行動,意識などのキャラクター設定を行い文章で描くこと.ターゲットをマスで捉えるのではなく,近くに踏み込んで一人に焦点を合わせることを指す.
  3. 現状(どう思われているか)
    上で設定したターゲットが,ブランドをどのように受容しているかについて,定量,定性調査などで判明した事実に基づき文章で明確にすること.
  4. 将来像(どう変えたいか)
    現状のターゲットのブランド受容をどのように変えたいのかを文章で明確にする.
  5. コンシューマーインサイト(人を動かす心のツボは?)
    3の受容と4の変容を架橋する心の動きの鍵となる事柄や道筋を,ターゲットの目線で(ターゲットを主語にして)文章で明確にすること.
  6. プロポジション(何をメッセージするか)
    5のインサイトを持ったターゲットに対して何をメッセージとして提示し変容に至るプロセスを起動するかを明確にすること.ブランドを主語として書く.
  7. 信じられる理由(RTB:reason to believe)
    6のプロポジションが納得,信用に足る理由を述べる.商品・サービスそのもののの属性,性能あるいは「一番支持されている」「○年連続で○○○」といったそのものの特性から離れた事実でもよい.
  8. トーン(tone of voice)
    何をどう伝えるかの設計を離れて,どういう語り口、雰囲気で伝えるのかを検討する.説得する,エンターテインメントとして見せる,社会的なテーマとして共感させる等の歩み寄り方.親近感,権威・威厳・伝統,自然体,真面目さなどの印象.こうした要素を明確にする一方,トーンは表現(クリエイティブ)のすべてを支配する要素でもあるので,制作サイドに委ねる場合もある.


4. 参考資料

  1. 日下部部長インタビュー:指定校・AO入試の見直し(ビトゥイーン 2016 6-7号 p18)
  2. 日下部部長インタビュー:これからの大学広報(宣伝会議 2013.8)
  3. 参考資料:経営と広報の一体化(広報会議 2016.10)
  4. 参考資料:ブランドリフト(宣伝会議 2016.12)
  5. 参考資料:ターゲティング(宣伝会議 2016.4)
  6. 参考資料:大阪大学のステークホルーダー(研究広報の実施のために行った考察)(2012 岩崎)

5. データ

  1. 千葉工業大学(2017年度入試版大学案内の簡易台割)xlsx
  2. 千葉工業大学 公式ウェブサイト,入試関連情報周辺のナビゲーション構造 xlsx
  3. 千葉工業大学 学部・学科別入試種類別募集定員(2016年度入試)xlsx
  4. 千葉工業大学 日経・朝日各新聞に掲出された記事タイトルリスト(1985~)xlsx

6. 参考文献・報告書

  1. 仁科 貞文, 田中 洋, 丸岡 吉人.(2007.9).「広告心理」.(電通)
  2. Keller, K.L. “ Conceptualizing, measuring, and managing customer-based brand equity” Journal of Marketing Vol.57, No.1, American Marketing Association, Jan 1993
  3. David A. Aaker“ Measuring Brand Equity Across Products and Markets” California Management Review Vol. 38, No. 3, University of California Press , Spring 1996
  4. 岩崎 琢哉.(2014).「リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備 成果報告書(研修・教育プログラムの作成)21 研究機関としての発進力強化 」.(文部科学省)

最終更新日:2016/12/22 17:00


Copyright © 2016 · group C, All Rights Reserved